
エイペックスは、半導体・FPDの製造現場を「人」と「装置」の両面からサポートするUTグループで、中古製造装置の販売および技術サービスを担ってきました。また、これらの事業で培った高度なエンジニアリングノウハウを駆使し、半導体の製造ラインの移設を一括して請け負う「移設サービス」を提供しています。
昨今、国内だけでなく、海外においてもエイペックスの「移設サービス」のニーズが高まっています。このサービスの意義と将来性について、半導体製造ラインの中国移設という大規模な案件を通じてご紹介します。
半導体製造ラインを移設するにあたっては、装置や設備の仕様・特性を熟知し、新しい工場環境に合わせてカスタマイズさせ、確実に稼働させるためのノウハウや技術が必要となります。しかし、メーカーが異なる装置や設備について、それぞれのメーカーに移設を依頼すると、窓口が多くなり、莫大な手間とコストがかかります。
エイペックスでは、こうした課題を解消すべく、製造ラインの移設を一括して請け負う「移設サービス」を提供しています。これは、独立系エンジニアリング企業として多様なメーカーの装置や設備の技術サービスを提供し、製造ラインをトータルにオペレーションしてきたエイペックスだからこそ可能なサービスです。
製造ラインの移設を一括して発注することができれば、作業が円滑に進むだけでなく、個別発注に比べコストを半額近くにまで削減できるなど、お客様にとって非常に大きなメリットとなります。
エイペックスは国内DRAMメーカーの半導体製造ラインを中国のLSIメーカーへ移設する売上高総額約50億円の大型プロジェクトを受注しました。当社がこれほど大きなプロジェクトを受注するのは初めてでした。
このプロジェクトでは、中国LSIメーカーから「製造ライン立ち上げ後の装置の稼動スペックについては移設前の工場と同等レベルを確保する」「移設元の希望する搬出スケジュールを厳守する」などが、必須要件として示されました。

こうした要求に対し、エイペックスは競合他社との差別化を図るために独自の強みをアピールしました。アピールしたのは、(1)製造ラインの立ち上げ・運営を一括受託する事業を展開していることから外部協力社を含めて数百人ものエンジニアを擁し、質・量ともに優れたエンジニアリング力を確保できる(2)プロジェクトの進行に際しては安全担当や進捗担当を配置し、お客様が希望するコストやスケジュール内で作業を進めるノウハウを有している(3)国内外で製造装置100台規模のラインを移設した実績がある、などです。
これらのセールスポイントは、中国LSIメーカーの社長が技術畑の出身であったことからしっかりと理解され、当社への確かな信頼につながりました。また、交渉過程での真摯な対応も評価され、4社が競ったコンペを勝ち抜いて受注を獲得することができました。
このプロジェクトは、製造ラインを構成する大小700におよぶ装置の仕様・特性はもちろん、日中両工場の異なる環境を正しく理解したうえで、装置や設備をカスタマイズするという難易度の高い案件でした。
そこで、準備期間を1カ月間設け、人員配置やスケジューリング、備品の確保、搬出順序の決定、作業を安全に遂行するための対策、宿泊施設の確保などに努め、そのうえで実際の作業に入りました。
作業は大きく2つのフェーズに分かれます。フェーズIすなわち国内メーカーからの出荷までのフェーズでは、製造ラインを構成する設備・装置のデータのバックアップを取ることから始めて、設備・装置を解体し搬出、そして国内の倉庫へ移します。その後、中国への搬送を経て、フェーズIIつまり現地でのライン再設置作業へと移行します。現地では、クリーンルーム内で設備・装置を組み立てて実際に稼働させ、条件通りの稼動スペックを満たしているかを確認したうえで検収に至りました。
実際の作業を担当したプロジェクトチームは、総責任者や技術担当責任者、技術系スタッフ、営業担当者、管理スタッフ、外部協力社の社員などで構成。外部協力社の数は約25社に上り、ピーク時には1日あたり250人の外部エンジニアがこの大型プロジェクトに参加しました。
スケジュール通りに作業を終えることができた時、お客様からは「よくやり遂げてくれた」と感謝の言葉をいただき、感激のあまり泣き出すエンジニアもいたほどです。
このプロジェクトを成功させたことで、エイペックスの“技術立社”としての強みが、業界でより強く認識されることになりました。プロジェクトの成果を知った国内外の企業からコンタクトが相次ぎ、当社がサービスを提供する機会は着実に増えています。
現在、半導体をはじめとするIT関連製造産業では、開発・設計と生産が分業化され、最先端技術が必要な開発・設計工程は日本国内に残しつつ、ほかの工程についてはその一部を台湾や韓国、中国といったアジア地域へと移設する生産拠点の集約化が進みつつあります。こうした背景のもと、近い将来、移設サービスはアジアを中心に急拡大していくと見込まれています。
今回のプロジェクトを通じてエイペックスは、中国企業のビジネス感覚や、責任に対する考え方などに対する適切な対応など、中国でビジネス展開するうえで必要不可欠な数多くのノウハウを取得することができました。また、実務面でも、たとえば中国人通訳や中国人エンジニアを採用する必要性を認識するなど、今後の事業展開に向けて具体的な課題を把握することができました。こうしたノウハウは、今後、エイペックスが中国でのビジネスを成功させていくうえで、非常に大きな競争力になると考えます。
中国への移設に限らず、昨今では、半導体業界の再編が加速していることを背景に、国内でも生産拠点の統廃合や移設が必要となるケースが増加しています。また、今後は国内から海外だけでなく、海外から海外への移設も考えられます。エイペックスの移設サービスは、いずれのケースでも強みを発揮できると考えています。
今後、エイペックスでは、巨大装置を移設するノウハウを含め、これまで蓄積してきたエンジニアリング力を最大限に活かし、半導体製造設備だけでなく、液晶やプラズマのディスプレイ製造ラインの移設サービスも視野に入れた事業拡大を目指しています。
独立系エンジニアリング企業の当社が提供する製造ライン移設サービスでは、円滑な移設や移設コストの削減とともに、お客様の環境に合わせて装置や設備を効率的に配置することでラインの確実な稼働に貢献します。